主役はまだ焼かない

仙台牛

カウンターの上に置かれた仙台牛。

まだ火は入っていません。

しかし、実は料理の勝負はここから始まっています。

キザブロで使うのは仙台牛A5ランクのモモ肉。

昔ならサーロインやリブロースを選んでいたかもしれませんが、今は少し考え方が変わりました。

美味しい脂は好きです。

けれど、最後まで心地よく食べられることも大切。

そこで選んだのがモモ肉です。

肉を室温まで戻し、表面を乾かし、火が均一に入る状態を作る。

コース料理が始まる頃には、すでにメインディッシュの準備は進んでいます。

魚料理のブイヤベースが提供される頃、ようやく本格的な火入れが始まります。

厚手の南部鉄器で焼きながら休ませ、また焼く。

余分な脂を落としながら肉汁を閉じ込める。

そして肉から出た脂で旬の地場野菜を焼き上げる。

肉も野菜も、どちらも主役です。

派手な演出はありません。

ただ丁寧に。

今夜も美味しい一皿のために、主役は静かに出番を待っています。