フォカッチャという「脇役」を、主役級に扱う理由

フォカッチャ

フォカッチャは、イタリア料理において「目立たない存在」です。
派手なソースもなければ、名前負けするような食材も使わない。
それでも、良いフォカッチャがある店は、料理全体の完成度が一段階上がる。

キザブロでフォカッチャを焼く理由は、ここにあります。

ただのパンでは終わらせない設計

当店のフォカッチャは、
オリーブオイルの香り・焼き色・水分量を最優先に設計しています。

・外側は艶やかに、しっかりと焼き切る
・中はしっとり、空気を含ませる
・噛んだ瞬間に油脂と小麦の甘さが広がる

料理のソースを受け止めるためでもあり、
ワインの余韻を切らさないためでもある。

フォカッチャ単体で主張しすぎない。
けれど、無いと物足りなくなる。
そんな立ち位置を狙っています。

ワインと料理を「つなぐ」役割

フォカッチャは、前菜とメインの間にあります。
肉料理や魚料理のソースを拭うためだけの存在ではありません。

一皿食べ終えたあと、
次のグラスに進むための“間”を作る。

強い料理が続いたとき、
舌を一度リセットし、次の一皿を迎える準備をする。

この役割を担えるパンは、意外と少ない。

シンプルだから、誤魔化せない

材料は多くありません。
だからこそ、焼きの甘さや油の使い方が、そのまま味に出る。

フォカッチャは「手抜き」ができないパンです。
焼きたてで出す理由も、時間が経てばすぐにわかる。

良い状態のフォカッチャは、
料理と同じように“今この瞬間”で完結します。

脇役にこそ、店の姿勢が出る

フォカッチャに力を入れている店は、
料理全体に対しても同じ目線を持っています。

目立つ一皿だけでなく、
その前後、余白、流れまで考えているかどうか。

パンは、その答えが最もわかりやすく出る存在です。

キザブロでは、
フォカッチャもまた「料理の一部」。

ただ添えるのではなく、
食事の流れを完成させるために焼いています。