キザブロ劇場:宣伝素材に“あえて”映えないパスタを選ぶ女

「何かパスタ撮りたいんだけど、何か作って」
ある日、オーナー(=私)はシェフにそう伝えた。
撮影用のメニュー、つまり映えるやつが欲しかった。
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シェフ「何かやってみたい。見たいパスタある?」
その場にいた菅原(1年目・通称:未来の巨匠/萌ちゃん)が、
遠慮がちに、でもまっすぐな目で言った。
「……カーチョ・エ・ペペ。」
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いや、よりによって映えないやつ来た。
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チーズと胡椒だけ。
派手なソースもなし。
上に乗せる花も、泡も、スモークも出てこない。
でも、彼女は知ってる。
この一皿にどれだけの技術と集中力が詰まっているかを。
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🧀 カメラ越しに“静かな熱”が写ることもある
結局その日、厨房に響いたのは
フライパンと茹で鍋の音、
そして乳化の見極めを巡る、シェフと巨匠の静かなやりとり。
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できあがったのは、
映えないけど、**「めちゃくちゃ旨そうな絵」**だった。

🎥 このパスタには、物語がある。
だから今日のリールはカーチョ・エ・ペペ。
派手じゃない。でも、“伝わる人”には刺さるやつ。
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「いつか、あのカーチョは私が作ったって言いたい。」
萌ちゃんはそう言って、また仕込みに戻っていった。
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#未来の巨匠がまた一歩進んだ日